若くして銀行の女性幹部社員となったヴェリティでしたが、セキュリティ改善策を提案したところ、暗愚な上司にボツにされてしまいます。それだけでなく、その上司は彼女の昇進に反対している様子。ヴェリティは、自分の提案の正しさを証明するために、銀行システムへの侵入を試みます。
はじめは警鐘を鳴らすだけのつもりだったのですが、彼女の協力者でも競争相手でもある天才ハッカーのゾルタンとの競争がエスカレートしてしまいます。ついには、どちらが先に銀行から10億ドルを盗み出すかというコン・ゲームになってしまうのですが、それだけでは終わりません。
ヴェリティの友人であったロシアの没落貴族母娘が、ゾルタンと組んでギリシャの無人島のオークションに乗り出すあたりから、展開はどんどん広がっていきます。ついには、ヴェリティも信頼していた銀行トップが最大のライヴァルとして登場し、ゾルタンとの共闘関係を余儀なくされ、ついに2人の関係は・・。
なかなかよくできている作品ですが、欠点がひとつ。特別の能力もない若い女性が、どうして巨大銀行のトップ近くで働くことができるのか、小説のスタートポイントが現実離れしているように思えて、最後まで違和感をぬぐえなかったのです。著者自身が、バンカメの副社長まで経験した女性なのですが、こんなに簡単に昇進したわけではありませんよね。
2015/3