りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

誇りと復讐(ジェフリー・アーチャー)

イメージ 1

いかにも著者らしい「ジェットコースター・ストーリー」ですが、「無実の罪による収監」、「人物の入れ替わり」、「裁判での大逆転」と聞くと、既読感を持つ人も多いのではないでしょうか。

自動車修理工のダニーの運命は、雇い主の娘ベスへのプロポーズが受け入れられた夜に暗転してしまいます。パブで喧嘩に巻き込まれたあげく、ベスの兄で親友のバーニーを殺害した犯人として逮捕されてしまったのです。社会的地位のある真犯人たちの卑劣な企みによって、裁判の結果は有罪。

ここからダニーの復讐劇が始まるのですが、逆転に継ぐ逆転の展開は、デビュー作の『百万ドルを取り返せ』以来、著者の得意とするところですね。ただ、冒頭に述べたように、少々ネタ切れ感も漂うのが寂しいところ。著者自身が経験した刑務所ネタも、既に何度も使われていますし。

イースト・エンドの無学な青年が、貴族の跡継ぎに成り変わるというのは、現実感が薄いように思えるのですが、どうなのでしょう。監獄の中での、話し方やマナーの特訓の場面は「マイ・フェア・レディ」を思い出しました。ついでに、イギリスが、少なくとも小説の中では、名誉と正義が重んじられる「紳士の国」であるという幻想も・・。

2015/2