りぼんの読書ノート

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岳飛伝 8(北方謙三)

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南宋、金、梁山泊の和平がかりそめにすぎないことは明白ですが、ようやく次の戦いの構図が見えてきます。やはり「物流による富国」に基盤を置く梁山泊は、封建主義国家である南宋からも金からも受け入れられず、「対梁山泊同盟」が優先されることになりそうです。

国内に梁山泊を持つ金が陸戦を担い、韓世忠のもとで水軍を強化している南宋が海戦を担当。さらに、現在の雲南にあたる大理国を押さえて、南方で山岳兵化を進める岳飛軍や、秦容が甘蔗糖栽培を軸に街作りを進める小梁山に攻勢をかけていこうというのです。そんな中で梁興を仲立ちとして、岳飛と秦容の対面がついに実現。

金国の大商人・簫炫材は、国内交易網の整備を進める中で、梁山泊による物資蓄積に気づきますが、すでに一商人で対応できるレベルは超えています。彼は金国の政商の座を狙うのでしょうか。それとも・・。西遼では耶律大石が没して、顧大嫂が執政就任。蒙古国境の耶立越里の軍に参じた胡土児は、モンゴルの脅威を感じ始めます。

李俊が、かつては楊玲に頼り切りであったと述懐する場面がありました。新しい梁山泊は、統括・宣凱や、物流を担う張策や王貴、軍総帥・呼延凌、南方の秦容など、中核となる人物が数多く輩出されているようです。西遼や岳飛などとの連携もできつつあります。しなやかでしたたかな組織となった梁山泊が、簡単に崩壊することはないと思うのですが・・。

2015/1