りぼんの読書ノート

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天冥の標6.宿怨 Part 1(小川一水)

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前巻から150年後の2499年。不治の感染症・冥王斑患者として人類世界から500年もの間、締め出され続けていた「救世軍(プラクティス)」の「宿怨」が、ついに噴出してきます。彼らが有する圧倒的な武器とは、原種の冥王斑ウィルスと、驚異的な人体改造能力なのですが、それらはどのようにして入手できたのか。まずは急転直下していく物語を追いましょう。

人工宇宙島群で遭難した少女イサリは、少年アイネイアに救われます。ありふれた「ボーイ・ミーツ・ガール」のようですが、イサリは世襲の「救世軍」議長の長女、アイネイアはロイズの中核企業MHD社のCEOの長男だったのです。イサリは、彼女のこと冥王斑ウィルスキャリアと知って接触を避けながらも、普通に優しく接してくれたアイネイアに強く惹かれるのですが、その後、2人の運命は大きく離れていってしまいます。

アイネイアは、今ではロイズと良好な関係を保っているノイジーラントのアウレーリア一統が計画している有人恒星間航行計画への参加を決定。一方のイサリは、狂信的な妹ミヒルや、「救世軍」と行動をともにするラバーズのロゴス、さらにはようやく姿を現す異種族の「カルミアン(石工)」らに引きずられるかのように、暴走への準備に協力させられていくのです。

宇宙規模で展開されているノルルスカイン(ダダー)とミスチフ(オムニフロラ)の抗争は、いったいどうなっているのでしょう。150年前にはMHD社のCEOがミスチフの手先だったようですが、この時代には「救世軍」の背後にいる感じです。おそらく「意外な事実」を準備してくれていると思いますので、とりあえずは物語の流れに乗って進んでいきましょう。

2014/12