りぼんの読書ノート

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テスタメントシュピーゲル 1(冲方丁)

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オイレンシュピーゲル・シリーズスプライトシュピーゲル・シリーズが融合された、両シリーズの続編です。

民族主義の残渣と、国連組織経由で持ち込まれた世界中のテロが交差する近未来都市ウィーン。超少子高齢化を背景とした児童労働の許可と、重度身体障害者に機械化四肢を与える福祉政策の融合によって生み落とされ、治安維持のために戦う6人の「特甲少女たち」。

はじめは些細な事件と思われた囚人護送バス襲撃事件が、無限に拡大していきます。ヴァチカン枢機卿の爆殺、イギリス王子の射殺、そして国際紛争へ・・。背後には「レベル3」の特甲猟兵を操るテロ支援組織「プリンチップ社」と、傭兵的戦術指導者集団「キャラバン」のロートヴィルトやホイテロートら。「第三次世界大戦は、”こんなにあっというまに酷くなるなんて”と思う暇も無く始まり、”いつ終わるんだ”と思うくらい長々と続くだろう」との予言は当たってしまうのでしょうか。

覆されていく「特甲少女たち」の過去。彼女たちの「出口」はどこにあるのか。そんな中で、一人の少女が「レベル3」の虚無に飲み込まれてしまいます。いや、涼月以外の他のメンバーだって皆、危ないところにいるのです。まるで「フォースの暗黒面」ですね。

このシリーズをもっての「ラノベ卒業」を宣告した著者が、全てを込めるという作品は、相変わらず濃い内容で、破壊力抜群の展開です。第2巻もキンドル配信が開始されたとのこと。全ての謎が解明される日を、楽しみに待つことにしましょう。

2014/11