りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

アンダルシア(真保裕一)

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外交官黒田康作シリーズ」の第3弾です。映画化されたのは2作でしたが、間にもう一冊あったのですね。映画は見ていませんが宣伝の印象が強いので、完全に「黒田康作=織田裕二」になってしまっています。

所用でバルセロナに来ていた黒田は、大使館に掛かってきたSOS電話を受け、隣接する小国アンドラからスペインまで、パスポートを紛失したという女性・新藤結花を連れ出します。しかし彼女の説明には虚偽がありました。さらにアンドラでは、死体で発見された身元不明の男性と彼女との関係が判明。黒田は、犯罪者の不法出国に手を貸してしまったのでしょうか。

実は新藤結花の元夫は国際犯罪と関係があり、彼女は息子の親権を得るためにさまざまな協力関係を余儀なくされていたのですが、彼女を操っているのは誰なのか。当時EUで対立していたフランスとスペインの警察機関が反目するなかで、両国のはざまで存在感の薄いアンドラ警察が意地を見せ、いっそう存在感の薄い日本の外交官にすぎない黒田が真相を探っていくのですが・・。

最初から最後まで新藤結花が真相を隠し続けるので、彼女への同情感も、彼女のために奮闘する黒田への感情移入も、途中で消えてしまうのが難点ですね。ラストになって登場する「意外な人物の意外な正体」も、伏線が薄すぎるので唐突感たっぷり。風光明媚な観光地の風景をたっぷりと背景に使った映画では、また異なる印象を持つのかもしれませんが。

2014/11