りぼんの読書ノート

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インフェルノ(ダン・ブラウン)

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世界的ベストセラー作家となったダン・ブラウンの新作の舞台は、フィレンツェからベネチア、そしてイスタンブール。もちろん「宗教象徴学」の対象物が嫌というほど溢れている街ばかりです。今回の謎の鍵となるものは、ダンテの『神曲』と、その背景にあった「黒死病」。

病院で目覚めたラングドンは、頭に銃弾の傷を負い、2日間の記憶を失っていました。窓から見えるヴェッキオ宮殿とシエナと名乗る美人女医に驚く間もなく、暗殺者に襲われてしまいます。かろうじて脱出した2人が見出したのは、上着に隠されていたバイオハザード・マーク付きの円筒から映し出されるボッティチェルリの「地獄の見取り図」。

どうやらマッド・サイエンティストが「疫病による人口調節」を目論んでいるようなのです。人口爆発による人類滅亡を回避するためには、中世ヨーロッパで3人に1人が亡くなった黒死病クラスの疫病禍が必要という恐るべき論理は正しいのでしょうか。黒死病の時代に著されたダンテの『神曲』に魅せられた陰謀家は、ダンテのデスマスクにメッセージを残していました。陰謀家を追うラングドンシエナは、世界の破滅を食い止めらことができるのでしょうか。

以前の著作と異なって、「秘められた謎」がかなり早い段階で明らかになっているように思えるのですが、それは最後になって覆されます。敵と味方が二転三転するのも「お約束」ですが、今回最後の最後まで「謎」の存在になるのは、意外な人物。

フィレンツエではヴェッキオ宮、ボーボリ庭園、ヴァザーリの回廊、ドゥオモなど。ヴェネチアでは大運河とサン・マルコ宮殿。イスタンブールではアヤ・ソフィアや地下宮殿のイエレ・バタン。どこも行ったことがある観光名所です。光景や地図を思い浮かべながら読みました。

2014/4