りぼんの読書ノート

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とんずら屋請負帖2 仇討(田牧大和)

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女であることを隠して伊勢崎町の「松波屋」で船頭を務める弥生の秘密は、妾腹ながら某藩藩主のご落胤であること。前作とんずら屋弥生請負帖では、お家騒動に巻き込まれてしまいまいた。船宿の秘密は、極秘の逃亡を助ける裏稼業を営んでいること。

そんな船宿に雇われた新顔の女中・お鈴には、どこか武家の匂いが漂います。一方で、全ての秘密を知りながら呉服問屋の跡継ぎを装って「とんずら屋」に長逗留している丈之進は、国家老である父親から「仇討の助太刀をせよ」との指令を受け取っていました。

この仇討ちにも、原因になった事件にも不思議な点があるのですが、さまざまな者たちの思惑が複雑に絡み合った結果、事態はのっぴきならないところまで進んでしまいます。果たして、判断を委ねられた弥生の決断は・・?

今回の話は、弥生の絡み方に必然性が薄かったように思うのですが、いかがでしょう。第1作では「危うい存在」であった弥生が、「切り札」的な存在として皆から求められるようになっていく過程は、成長譚としても面白く読めるのですが、設定が複雑すぎたのかもしれません。

ただ、謎めいた丈之進と兄貴分の啓治郎という2人のイケメンとの関係や、弥生を江戸に連れてきてから行方不明になったままの幼馴染の仙太郎の動きなど未解決の問題も多いままですから、まだまだ続きそうです。でも「書き過ぎ」にはご注意ください。

2014/4