りぼんの読書ノート

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貧乏お嬢さま、メイドになる(リース・ボウエン)

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ヴィクトリア女王の曾孫ながら、王位継承順位は34番目。スコットランドの古城で破産寸前の兄ビンキーは妻のフィグに頭が上がらず、小遣いもくれません。気の進まない縁談を断ってロンドンに逃げ出したジョージーお嬢様は、一人暮らしを始めますが、とにかくお金がありません。こっそりとお掃除ビジネスを始めます。

狭い貴族社会で知人に顔を見られそうになったりもしますが、貴族はメイドを人間扱いしていないようで、秘密を聞き出すにはもってこい。おりしも、ジョージ5世の王妃メアリから、軽いスパイ役を頼まれてしまいます。どうやら息子のディビッド皇太子が、アメリカの既婚者シンプソン夫人に熱を上げているようなのですが、それを確認して欲しいとのこと。

お気楽ムードを吹き飛ばしたのは、浴槽に浮かんでいた死体。被害者はギャンブラーで、なんと兄のビンキーには動機あり。その男は亡くなった父から財産を巻きあげた証文を持っていたのです。なぜかジョージーも狙われ始めます。学生時代の親友でキャリアウーマンのベリンダも、ハンサムだが文無しのアイルランド貴族の息子ダーシーも、母の元夫ヒューバートが後見人だったトリストラムも、軍人家系のウィッフィーも怪しく思えてくるのですが・・。

ミステリというより、1930年代のロンドンや貧乏貴族達の生活の様子を楽しむ本ですね。「ウィークエンド」というのが庶民の言葉であったとは知りませんでした。働いてもいない貴族には、平日も週末も関係ないのです。続編も出ているようです。この軽さで、どこまで引っ張れるのでしょうか。

2014/4