りぼんの読書ノート

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三匹のおっさん ふたたび(有川浩)

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還暦を迎えて老人扱いされることに我慢ならない3人の幼馴染仲間が繰り広げる「痛快シルバーアクション」のシリーズ第2弾。ゼネコンを定年退職してゲームセンターの嘱託となっている剣道師範のキヨ、居酒屋を息子夫婦に譲った柔道家のシゲ、電機関係の町工場を営むメカに強いノリの3人が、道徳心の欠如から起こる小犯罪に対して立ち上がります。

今回は、犯罪絡みの話ばかりではありませんね。キヨさんの息子の嫁で世間知らずの貴子さんがパートに出て気づいた人間模様とか、男やもめのノリさんの縁談話の顛末とか、町内会のお祭り復活に燃える商店街の話など、人間関係の機微に触れる話も含まれます。もともと、有川さんが得意とする分野ですね。

もちろん、少年たちの万引きを防ぐ話や、お店のスペースにゴミを捨てに来る犯人をつかまえる話や、これはシリアスですが放火犯を捕まえる話とか、三匹のおっさんは今回も大活躍です。マナーが悪くなっているのは決して若者だけでなく、大人や老人も一緒なんですね。「衣食足りて礼節を知る」との言葉を思い起こしてしまいます。

ところで第6話で登場した「偽三匹」の話は、本書でちょっと気になっていた点に触れてくれました。「自警団」というと警察のように職務質問したり、一般人を犯人扱いしたりするマイナス・イメージもあるのです。「偽三匹」の「偽・正義の味方」振りを見ると、「元祖・三匹」の謙虚さが理解できます。権力的になってしまってはいけませんものね。まあ、そんなものを振りかざさなくても、乱闘になっても勝てちゃう実力もありますし。

キヨさんの孫の祐希君と、ノリさんの娘の早苗さんが一緒に地元の大学に合格。小説の中の出来事ですが、おめでとうございました。^^

2014/4