りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2014/3 リヴァイアサン三部作(スコット・ウエスターフェルド)

今月の上位作品は全てSFです。しかも1位の三部作と3位の作品は、「銀背」と呼ばれる「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」です。2年も前から刊行されていたのですね。これまでコニー・ウィルスさんの作品しか知りませんでした。このたび第2期12作品の刊行も決定。「SF冬の時代」の中で、楽しみな企画です。

1.リヴァイアサン三部作(スコット・ウエスターフェルド)
(1)リヴァイアサン (2)ベヒモス (3)ゴリアテ
遺伝子操作技術を発展させた「ダーウィニスト」国家と、蒸気機関の機械文明を発達させた「クランカー」国家が対立する世界。オーストリア大公夫妻の暗殺をきっかけにして第一次世界大戦が勃発。両親を殺害した勢力に追われる貴公子アレックと、空への憧れから男装し英国海軍航空隊に志願した少女デリンの出会いは、世界平和をもたらすことができるのでしょうか。2人を乗せた巨大飛行獣リヴァイアサンは、ヨーロッパから、トルコ、極東、アメリカへと向かいます。

2.アンドロイドの夢の羊(ジョン・スコルジー)
強大な軍事力を持つ種族と紛争を起こした人類が、代償に求められたのは、特殊な「羊」でした。その羊は滅亡寸前だったのですが、思わぬところに遺伝子が伝わっていたのです。やがて「羊をめぐる冒険」は、意外な権力闘争へと結びついていきます。楽しいSF作品です。もちろん、P・K・ディックへのオマージュに溢れています。

3.言語都市(チャイナ・ミエヴィル)
同時発話という特殊構造を持ち、真実しか語れないという言語を有するアリエカ人と交流するためにクローン生成された「大使たち」。しかし、ある新任大使の言葉は、なぜか麻薬のようにアリエカ人の間に浸透していき、大崩壊の危機を引き起こしてしまいます。訳のわからない物語ですが、終盤の展開は怒涛です。そして、言葉と文字と嘘の関係について、深く考えさせられてしまうのです。


2014/3/30