楽しいSF作品です。もちろん、P・K・ディックへのオマージュに溢れています。
地球人類とニドゥ族の貿易交渉の席上で、なんとも臭い事件が発生。内容的には笑えるものの、笑えない結果となった事件が、惑星間の戦争に繋がりかねない危機を引き起こします。地球としては、軍事的に優位にある異星人種族との戦争は回避しなくてはなりません。
ニドゥ族が代償として要求してきたのは、特別な「羊」の調達でした。凄腕ハッカーの元兵士クリークが役割を担うことになりましたが、状況は混乱するばかり。反ニドゥ族の暗殺者に狙われ、羊を崇める謎の宗教団体に追われた末に見つけ出したのは、普通の人間にしか見えない美女ロビン。複雑な事情があって、彼女の遺伝子の一部に、特別な羊の遺伝子が入り込んでいたんですね。
ニドゥ族にロビンを差し出すべきかどうか、人類は悩みます。ところがニドゥ族の間でも事情は封雑でした。羊が受け取れなければ首長選出の儀式に影響が出て、氏族間の権力闘争が始まるというのです。現政権派と、クーデター陰謀派の対立の結果、意外なところに権力が転がり込むことになるのですが・・。
2014/3