前作『MM9 invasion』で、地球侵略を企むチルゾギーニャ遊星人が送り込んだ宇宙怪獣を辛くも撃破してから直ちに、重要人物たちは茨城県内のとある神社に護送されます。恒点観測員である宇宙人ジェミーに憑依されて能力を高めた少女型怪獣ヒメや、彼女とテレパシー交信できる少年・案野一騎らが出会ったのは、神社の巫女である御星ひかるでした。この神社に祭られている古代神こそが、日本を守っている存在だったのですね。
しかし、遊星人が次々と送り込んでくる宇宙怪獣の前に、ヒメの生命は風前の灯。遊星人は、彼らが拠って立つ神話的宇宙を守るために、ビッグ・バン宇宙論的「観察者」である地球を服従させる必要があったのです。彼らが崇める怪獣的神が、地球人が崇める女神を屈服させるというのですが・・。果たして女神の従者たる古代神「カガミ」や「ゴズ」は、ヒメの救援に間に合うのでしょうか。そして少女神ヒメが、成体として変貌する姿とは・・。
「ウルトラ・シリーズ」をはじめとする怪獣作品に捧げたオマージュ小説です。「カガミ」や「ゴズ」のモデルは、ガメラとゴジラですね。「ヒメ」はアマテラスであり、アテナであり、メドゥサであり、多くの世界神話に登場する女神の総体でした。
楽しい「三部作+番外編」でした。「3.11」を「怪獣災害」としなかったことには期待外れ感もありますが、賢明だったと思います。
2014/2