りぼんの読書ノート

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スイーパーズ(加藤実秋)

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変人そろいで事件や事故現場専門の清掃会社でパート社員として働く桃子には、不思議な能力がありました。それは、現場に残された「思い」を感じとって異常感覚が発現してしまうこと。しかもその感覚は、事件が解決されるまで元には戻らないのです。

前巻のモップガールでは、幻視や味覚や香りや寒気が事件解決のヒントになりましたが、今回の異常感覚はもっとぶっとんでいます。手のひらに感じる「くすぐったい感覚」から記憶を失った男が手のひらに書き残したメッセージを読み取り、「やきそば食べたい症候群」からは女たちを操ったイケメン美容師の陰謀を暴きだし、「犬化現象」では引越しで置き去りにされた雑種犬の思いを再現してしまうのですから。

そして、前巻のラストから断続的に続いていた「謎の歌声の幻聴」では、事故死したと聞かされていた桃子の父親が巻き込まれた犯罪が明らかになっていきます。それは同時に、同僚の青年・翔が幼馴染だったことを思い出させるのですが、そもそもなぜそんなことが記憶から欠落していたのでしょうか。

いかにもドラマの原作らしく、異常な犬好きの社長や、役者気取りの元ヤンキーの先輩や、Vシネかぶれの中国人バイトや、したたかギャルの事務員など、登場人物がキャラ立ちまくりですが、ドラマの展開は本書とは異なっているようです。

2013/11