りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

こいわすれ(畠中恵)

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町名主の跡取り息子の高橋麻之助と悪友たちのお江戸青春ミステリーまんまことシリーズの第3弾ですが、思いもよらない悲しい幕切れが待っています。

「おさかなばなし」
置いてけ堀で河童被害者? 悪友の清十郎もおぼれかけ、子どもが行方不明になったという商人からも頼まれた麻之助と吉五郎が真相解明に乗り出します。実は子どもがいなくなったのは2年も前の別の場所での出来事だったのですが、あきらめきれなかったんですね。麻之助の妻のお寿ずの懐妊が判明しますが、本巻の最終話とテーマが繋がっているようです。

「お江戸の一番」
番付が流行した江戸で、狂歌師と画家のどちらが上位に入るのか。麻之助の発案で、両国に小屋を開いて入場料の勝負が幕を開けるのですが、それぞれのグループのトップが同じ女性に思いを寄せていたことが判明。どっちも振られてしまうんですけどね。

「御身の名は」
宿下がりしたお寿ずのいない間に、麻之助を呼び出す文が届きましたが、待ち合わせ場所には誰も来ません。実はお寿ずの友人の嫌がらせだったのですが、彼女にも悲しい事情があったのです。

「おとこだて」
女性から離縁を申し立てるのは難しい時代。とりわけ持参金の返還を求められる男は、離縁を道目ラレ内のです。自分に関する妙な噂を自分で撒いて、離縁を承諾させるというのは悲しいものです。

「鬼神のお告げ」
三尸の虫が富くじの当り番号を予言? でも予言には不吉な追加がありました。からくりを見抜いた麻之助らは、犯罪を防ぐために奔走。しかし、事件を解決してて一息ついた麻乃助にもたらされたのは、悲しい知らせでした。

「こいわすれ」
川に落ちそうになっていた娘を助けたことから、不吉な暦の謎を解くように依頼された麻之助。結局は人の心の問題だったんですね。心の問題といえば、大丈夫と言い続けていた麻乃助は、全然大丈夫ではありません。それは友人たちはもちろん、お寿ずの妹のおこ乃や、川で助けた娘の目にも明らかなのです。ようやく涙を流すことができた麻乃助でしたが・・。

全然、お気楽ミステリではなくなってしまいました。次巻の『ときぐすり』は必読です。タイトルの意味も理解できたように思います。

2013/11