サンディェゴのサーファーたちには、時間帯によって集まるメンバーが異なっているようです。早朝、地元の若者たちが仕事前に波に乗る時間帯は『夜明けのパトロール』と呼ばれ、次いで年配者たちの「紳士の時間」が来るとのこと。
地元屈指のサーファーである探偵ブーン・ダニエルズと、その仲間たちの活躍を描くシリーズ第2作ですが、タイトルから明らかなように主人公たちはいつまでも「気ままな若者たち」ではいられないようです。
抜群の腕前と爽やかな人柄で愛されていたハワイ出身のサーファーが、ダイナーで殴り殺されるとの事件が発生。街中が悲しみにくれ、加害者に厳罰を求める声が高まる中で、ブーンは加害者の弁護士ペトラから調査を頼まれます。真相は別にあると直感したブーンは調査を開始するのですが、これはサーファー仲間からの非難を覚悟しての行動。
折りしも街の名士から依頼されていた、妻の浮気調査の結果はクロでした。それだけなら単なる残念な結果なのですが、浮気相手の男が殺害されたとなると話は物騒になってきます。果たしてその背景には、ラ・ホーヤの高級住宅地の地質調査という、利権の絡む問題が・・。
冒頭に登場するメキシコの麻薬カルテルの動きから、国境の街サンディェゴは無縁ではいられません。『犬の力』や『野蛮なやつら』ほどストレートではりませんが、ブーンたちにも「夜明けのパトロール」から卒業する時期が迫っているようです。今回は、「ロー・スクールに入学して法曹の道を歩んではどうか」という、新しい恋人ペトラからの提案は拒んだのですが・・。
2013/9