りぼんの読書ノート

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レイ・ザ・フェイバリット(ベス・レイマー)

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ソーシャルワーカー、出張ストリッパー、賭博師助手、アマチュアボクサーなど、若くして多彩な経歴を経た後、大学でライティングを学び、自伝的小説を著わした作品が本書です。物語の中心は、もちろん賭博師助手時代のことであり、レベッカ・ホールブルース・ウィリス主演で映画化もされています。

非行少女たちに懇願されて脱走を黙認し、フロリダの厚生施設をクビになったベスは、ラスベガスラにやってきます。夢はカジノのカクテルウエイトレス。ところが知人の紹介でスポーツ賭博会社に勤めることになり、想像を超えたスリリングな世界の虜になってしまうのです。

彼女を雇ったのは、一匹狼の賭博師ディンク。一獲千金で派手なビジネスの裏にあったのは、データと人間関係を重視する、モダンで古風な世界。でも最後はやはり賭博師の勘。そして貴重なのは、大金を扱わせてもボスを裏切らないアシスタント。仕事の用語もコツもわからなかったベスは、やがてボスの信頼を勝ち取りますが、同時に既婚者のディンクに惹かれていってしまいます。

ストレス解消で始めたボクシングに打ち込み、ひとときはラスベガスを離れる決意をしたベスでしたが、この世界を離れることはできるのでしょうか。そして成功と失敗を繰り返した後にたどり着いた、生きる意味とは・・。

実話がベースとなっているだけに、リアリティーたっぷりです。ディンクをはじめとする「賭博師列伝」的な部分、インターネットがスポーツ賭博を変貌させてしまった過程、カリブ諸国を利用して法の網をくぐろうとする賭博師たちの企みなど「裏話」的な情報も楽しめます。こんな世界を知ってしまったら、普通の仕事はやっていられないかも。でも成功者はほんの一握りであり、大半は破産か重罪刑務所行きという末路のようです。やはり、おいしい話は簡単ではありません

2013/7