りぼんの読書ノート

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ソフト・ターゲット(スティーヴン・ハンター)

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アルジェリアのテロ事件の後では、本書は日本で発刊されなかったのではないでしょうか。大勢の人質を取ってに立て篭もったテロリスト集団に対して、スナイパーや警察が武力を用いて解決するのですから。もちろん人質の中にも多くの犠牲者が出ています。

「スワガー・サーガ」の最新刊である本書には、もうボブ・リーは登場してきません。スワガー家の主人公は、息子レイと娘ニッキの世代に移ってしまったようです。

感謝祭明けの金曜日午後、ミネソタ州郊外の巨大ショッピングモールがソマリア人らしきテロリスト集団に襲撃されます。まずサンタクロースに扮した男が射殺されて銃声が鳴り響く中で、セキュリティ・システムが乗っ取られて出入り口は閉ざされた中で、モール内の買い物客はパニックに陥ります。その現場にたまたまいたのが、レイ・クルーズとフィアンセのモリー・チェンでした。そして、ヘリコプターで取材に駆けつけたジャーナリストのニッキ。

千人を超える人質事件という未曽有の事態を前にして、演説と処世術だけで出世してきた州警本部長オボボは、「対話による解決策」を採用します。テロリストが要求する犯罪者の解放に応じ、事態は沈静化するかと思われたのですが、テロリストを操っていたのは別の人物であり、それだけではすまなかったのです。レイはとモリーはテロリストから逃れた人々や子供たちを潜ませる一方で、FBI副長官メンフィスと連絡を取りながら反撃の時を待っていたのですが・・。

明らかに銃所有と共和党の支持者である著者は、オバマ政権の政策を中傷する意図があるのでしょうか。弱腰の州警本部長は、名前も人種も態度も現大統領に似せてあり、読んでいて不快でした。『極大射程』に始まるこのシリーズは、面白かったんですけどね~。

2013/4