りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

道草ハヤテ(米村圭伍)

イメージ 1

山彦ハヤテの続編です。陸奥国折笠藩の若藩主・三代川正春を救けて、身分違いの親友となった元・野生児のハヤテが、母親の犯した罪をつぐなうべく出家した正春の異母弟でイケメン僧侶の徳念と連れだって、江戸から故郷に向かいます。ハヤテの相棒で江戸市中では身を潜めていた、はぐれ狼の尾ナシも同行。ところが途中で様々な事件に出会って、なかなかたどりつかないんですね。だから「道草」なんです。

「嫌われ尾ナシ」では、幕府の放牧地の小金牧に迷い込んだハヤテたちが、巨大な外国馬・オランダさまのために村八分となった母娘のために活躍するだけでなく、尾ナシに恋の相手が登場。

「逃げろ徳念」では、関宿で徳念に一目惚れして旅についてきた博徒の親分の娘・お熊に、ハヤテが一目惚れしてしまったことからひと騒動。

狐の嫁入りでは、那須野原で狐の嫁入りを邪魔してしまった2人が、狐たちが治める不思議な国に入り込んでしまい、土地・株バブルなど、どこかで見たような狂騒を目撃。

本書のモチーフは『ガリバー旅行記』だそうです。「異国」を描きながら「自国」への風刺を利かせたシビアなテーマが盛り込まれているのですが、基本は軽妙な語り口によるドタバタ・コメディ。バイタリティ溢れるハヤテと純粋な徳念が、いいコンビになっています。でも、いったいいつになったら故郷に帰りつくのでしょう。

2013/4