りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ドリームガール(ロバート・B.パーカー)

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スペンサーという私立探偵を主人公とするシリーズの一作であり、古典的なハードボイルド探偵ミステリです。今時珍しい。

かつて少女時代にスペンサーに救われた売春少女のエイプリルが、30代の美女となって再登場。もっとも「過去に救った」といっても、ひどい男に搾取される売春宿から、まともな娼館に移してあげただけなので、カタギの生活に戻れたわけではありません。ただし現在は、自ら娼館を経営する立場となっています。

エイプリルの依頼は、何者かによる営業妨害から守って欲しいというものでしたが、彼女は何かを隠していそうです。案の上、恐喝者の背後には別の男がいて彼女とは知らない仲ではない様子。実はエイプリルには、男に支配されない高級娼館のフランチャイズ事業を展開するという野心があったのですが、彼女は夢を実現するための方法をたったひとつしか知りませんでした。

それは自分の魅力で男を利用する方法だったのですが、危険ですよね~。利用しているはずだった男が支配欲をむき出しにするたびに別の男に乗り換えていくわけで、その分、より危険な男を利用しなくてはいけなくなる「負の連鎖」に陥っていたのです。エイプリルが最後に期待をかけたのは、スペンサーの誘惑だったのですが・・。

スペンサーは再度エイプリルを救うことができるのか・・というストーリーが底流に流れている、思いがけずに深いテーマの作品でした。

2013/1