りぼんの読書ノート

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タフの方舟 1.禍つ星(ジョージ・R・R・マーティン)

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この本は面白いと聞いていたのに、なかなか読む気になれなかったのは、表紙に描かれた主人公ハヴィランド・タフの姿に引いてしまったからです。身長2メートル50で太鼓腹の持ち主、無表情な長い顔に大きな手、ツルッ禿でまっ白な肌というのですから。しかも猫好き!しかし楽しい本でした。お薦めの作品です。

「禍つ星」 第一話は、タフが「方舟」と呼ばれる古代のバイオテクノロジー戦艦を手に入れるまでの物語。付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす「禍つ星」こそが、失われた技術の宝庫とつきとめた学者や用心棒らに雇われた、ボロ宇宙船の持ち主タフが、方舟に仕掛けられた罠をかいくぐっての争奪戦に巻き込まれてしまいます。この作品は「ジュラシック・パーク」の前に書かれているんですね。

「パンと魚」 タフが方舟補修に立ち寄った最新の科学技術を誇るス=ウラスム星は、産児制限を行わない宗教のせもあって人口大爆発中。ポートマスターのトリー・ミューン(鋼鉄のウィドウ)は、食糧増産テクノロジーを有する方舟を買い取る交渉を委ねられるのですが、本音は方舟強奪だったのです。

「守護者」 海からの怪獣に国土を荒らされて入植者滅亡寸前のナモール星が、タフに助けを求めます。むりやりタフに怪獣の天敵を作らせたものの、すぐにそれを上回る怪獣が登場。果たして新の解決策とは何だったのでしょう。

「宇宙一あこぎな商人」と呼ばれるタフですが、慇懃無礼で超丁寧な話し方は嫌味なものの、決して「あこぎ」ではありませんね。皮肉屋で、理屈っぽくって、大げさで、バカ丁寧なだけなのです。ただし、相手の嘘を見抜いてしまうテレパシー猫にはご用心。^^

2012/12