りぼんの読書ノート

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四文屋~並木拍子郎種取帳(松井今朝子)

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町奉行に仕える同心の家に生まれながら芝居に惚れこみ、並木五瓶の弟子になって狂言作家を目指している筧拍子朗が綴る大江戸人間模様の第4作です。

「蔦と幹」 トンボ返りが得意な斬られ役の新吉が金に困っている理由は、幼馴染のワルからの強請なのでしょうか。勧善懲悪と見えた物語が一転して、弱者と強者が入れ替わる展開は、まるでトンボ返りのようです。

「頼もしい男」 10年続いた頼母子講で50両の籤取りをするというのに、肝心の金はなくなり、参加者に脅迫状も出る始末。いったいその理由は何だったのでしょう。欲望で人格は変わるのなら、欲望のもとを無くすのが一番。

「惚れた弱み」 二枚目で天狗になっている龍蔵が惚れた清楚な女の正体は?これは美人局なのえdしょうか。龍蔵の純な心を傷つけない解決法はあるのでしょうか。

「四文屋」 屋台の親父が殺された事件の犯人は、そこの天麩羅が原因と思しき食あたりで息子を亡くした男なのでしょうか。拍子朗は、そこの屋台で垣間見た記憶から、大店の押し込み事件との関係に思い当たるのですが・・。

「札付き」 問屋の娘の殺害犯として、元の許婚だった仕切り場の手台が捕縛されます。芝居町で暮らす人は「札付き」なのでしょうか。拍子朗の兄で同心の惣一郎は、職を賭してお奉行に真犯人を訴えるのですが・・。

拍子朗が兄から跡を継ぐよう迫られている状況に変化はありませんし、何の決断もできないままでいます。互いに惹かれあっている料理茶屋の娘おあさも婿を迎える身で、どうしようもありません。次巻では2人の関係に進展はあるのでしょうか。まさか破局では?

2012/10