りぼんの読書ノート

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修道士カドフェル12 門前通りのカラス(エリス・ピーターズ)

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シリーズ第12巻になります。モード女帝のスティーブン王の戦闘は膠着状態のまま動かず、両者とも味方の確認や、相手側の情報収集に努めている状況です。州執行長官の戦死後に代理を勤めていたヒュー・ベリンガースティーブン王から正式に執行長官に任命されますが、一方でモード女帝側のスパイが潜入しているとの情報がもたらされます。

そんな中で、亡くなったアダム神父の後任として門前通り教区の新任司祭となったエイルノスは、温厚で寛容だった前任者と異なり、戒律に厳しく人間的な優しさを持ち合わせていない人物だったため、着任早々に教区住民から嫌われてしまいます。

そして聖誕祭の夜、エイノルス神父が溺死体となって発見されることになるのですが、カドフェルの新任助手となっていた青年ベネットの正体がモード女帝側のスパイだと判明したため、彼に疑いがかかってしまうんですね。カドフェルは事件の真相を求めて、ベリンガーとともに調査を始めるのですが・・。

国中に敵味方が入り乱れているようすがよくわかります。スティーブン王に忠誠を誓うシュールズベリの町にも、モード女帝派の貴族がいたり、その貴族ラルフ・ジファードの継娘のサナンと恋に落ちたベネットは好青年であってカドフェルベリンガーも好意を抱いたりしているのですから。

結論は、神に仕える身であっても、潔癖が過ぎて住民から嫌われてはいけない・・ということでしょうか。

2012/4