りぼんの読書ノート

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異邦人たちの慰め(イアン・マキューアン)

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ヴェニスとおぼしきイタリアの古都を訪れた英国人カップルのコリンとメアリは、道に迷った夜、ロベルトという精力的な男と知り合って、彼の家に招かれますが、そこには身体が不自由で病的な妻キャロラインが2人を待っていました。

それは奇妙な罠だったのです。ロベルトの本には隠し撮りされたコリンの写真がはさまれており、出会いと招待は始めから仕組まれていたんですね。

ロベルトとキャロラインは「誰かに恋したら相手に殺されてもいい」と言うほどに凄まじいSMカップルで、実際キャロラインの怪我はロベルトによってもたらされたものだったのです。2人のターゲットは美青年のコリン!

ポルノかと思えるほど露骨な性描写があり、耽美ホラーか猟奇殺人のような結末を持つ本書を、どう理解すればよいのでしょうか。マキューアン版『ベニスに死す』とのコメントもありましたが、どうなんでしょう。

この作品がブッカー賞にノミネートされたというのには、「う~ん」です。イノセント贖罪に繋がっていくテーマも部分的にはあるのですが・・。

2012/4