りぼんの読書ノート

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アマルフィ(真保裕一)

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織田祐二主演の観光映画の企画に参加して、ストーリーと脚本に携わった著者が映画をノヴェライズした作品ですが、映画とはラストを変えているとのこと。

海外の邦人保護という特別任務を担当する外交官・黒田康作が、ローマで起きた日本人少女誘拐事件に巻き込まれます。少女の母である紗江子を助けて身代金の取引にも関わった黒田は、犯人が指定してきたアマルフィまで同行しますが、警察に通報したことがばれて取引は失敗。

犯人がカメラに映っている可能性を追求して、大手セキュリティ会社に出向いた黒田でしたが、実はそれこそが犯人の狙いだったのです。この誘拐事件は偽装であり、セキュリティ会社のホストを停止させるために仕組まれた者だったんですね。

なぜ日本人が狙われたのか。オペラ座で行なわれる日伊共同開発事業の調印式に出席する、日本の外務大臣がターゲットなのか。外務大臣がこだわるロシアの大臣との会談は関係あるのか。そして、バチカンで法王が祈りを捧げるクリスマスのミサは・・。

アマルフィ」が選ばれたのは、その地に伝わる言い伝えが理由だといいます。愛する妖精の死を悲しんだヘラクレスが、世界で最も美しい地に亡骸を埋めて作った街がアマルフィだとのこと。犯人たちが「命を懸けるにふさわしい作戦」を「アマルフィ」と名づけた理由も、その伝説にあったのです。

ジェットコースター・アクションが展開される舞台が、どこも有名な観光地紹介になっているのは「ダ・ヴィンチ・コード」や「ナショナル・トレジャー」と一緒。ひとつの潮流ですね。

2012/4