りぼんの読書ノート

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阪急電車(有川浩)

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最近大阪への出張が定期的にあって、阪急電車に乗る機会も増えました。「えんじ色の車体にレトロな内装」の「おしゃれな電車」です。でも本書の舞台となっている「阪急今津線」は未体験ゾーン。

「宝塚、宝塚南口、逆瀬川、小林、仁川、甲東園口、門戸厄神西宮北口」の8つの駅を往復する車輌に乗り合わせて、出会い、すれ違い、言葉を交わして繋がっていった乗客たちが織り成すドラマは果たして・・。

主な登場人物は、駅の数に合わせて8組です。図書館で出会い、同じ電車に乗り合わせた偶然から付き合い始めた柾志とユキ。自分を裏切った恋人と、彼を寝取った友人の結婚式に「討ち入り」をする翔子。孫娘の亜美を可愛がりながらも、決して甘やかさない祖母の時江。最低の男カツヤとの別れを決意したミサ。

大学生の彼氏とほほえましい交際をしている受験生の悦子。人生最初の交際をはじめたばかりの大学新入生の圭一と美帆。非常識なオバサングループの中にいることを辛く感じている主婦の康江。友人達から仲間はずれにされながらも耐えている小学生のショウコ。

「往路」が春で、折り返しの「復路」が半年後の秋というのがいいですね。半年の間に変わったことと変わらないことが、物語に動きを与えています。

翔子とミサは、いい友だちになれそうですね。中州にあった「生」の文字は、阪神大震災からの「地域再生」の願いを込めたメッセージだそうです。「阪急今津線」に乗ってみたくなりました。

2011/11