地震や台風などの自然災害と同様に「怪獣災害」が存在する現代。有数の「怪獣大国」である日本では、気象庁内に設置された「特異生物対策部」、通称「気特対!」が昼夜を問わず活動しているという前作『MM9』の続編です。
ヒメの意識に同調して目覚めさせ怪獣を倒したのは、遥かな星雲から地球のために派遣されてきた恒点観測員のジェミー。ウルトラセブンみたいですよね~。美少女姿の「ヒメ=ジェミー」は、ジェミーのテレパシーと同調能力を持っている高校生・案野一騎とともに、次に怪獣が現われると予測されたスカイツリーへと向かうのですが・・。
昭和の香り漂うウルトラシリーズのパロディですが、ウルトラヒーローではなく、少々ズレた美少女が怪獣と闘うというのが、読者の「萌え心」をくすぐりそうです。「宇宙から来た美少女」というとラムちゃんとカブリますけど。^^
「我思う。故に物理法則に支配されたビッグバン宇宙あり」の世界と、「怪獣あり。故に物理法則と矛盾する神話宇宙あり」の世界が並存していることを、本書では「多重人間原理」と呼んでいますが、思いっきり開き直っていますね。^^
「神話宇宙観」が消滅すると、怪獣も妖怪も存在できなくなるとのこと。自らの存亡を賭けて、宇宙怪獣を操る極悪宇宙人と結託した妖怪テロリストたちと、「ヒメ=ジェミー」と「気特対」と高校生・一騎の対決は、次巻も続くとのことで楽しみです。
しかし、気がかりなことがあるのです。2011年2月までに書かれた本書は、2012年3月から始まる物語との設定になっているのですが、2011年3月に起きた大災害を、この世界でどのように位置づけるのでしょう。間違いなく「MM9」クラスの「怪獣災害」なのですが・・。
2011/10