りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

人の道御三神といろはにブロガーズ(笙野頼子)

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一見して神社の公式ページのように見える体裁でありながら、水中画像しかなく、リンク先がいろは順に48か所もある不思議なサイトを管理運営しているのは、金毘羅の化身たるS市在住の著者。

このサイトは、天孫系の神々によって宇佐を追われ、名前もアイデンティティも奪われた後、各地を遍歴あそばされた間に、怨霊神、祟り神、災い神、巡行神へと身を落とされた原始八幡「人の道御三神」の仮想空間内のお住まいなのでした。

女子アナ的な美女揃いの天孫系の神々に対して「決して顔をいじってはいけない」。御三神の通称は、順に、あおり姫、かづき姫、ばらき姫。長女のあおり姫はもともと海神であり、芸能や交流の神。次女のかづき姫は土着の山の神であり、ウサギを愛する豊作の神。三女のばらき姫は宇佐の王であり、政治と革命の神。

御三神の「凶神モード」がいいですね。あおり姫は着崩れ姿で現われ、かづき姫は石ころお手玉と糞石おはじきで遊び、ばらき姫はノーメイクで鍋をかぶるというお姿で登場するというのですから。^^;

巡行を常とする御三神は、ウィルスの神でもあります。「三姉妹」を名乗るサイトを訪れて、偽りの度合いに応じた罰を与えるのですから、ブログで身分詐称したり、嘘偽りのスレッドを立ててはいけないのです。

後半は、老齢の猫介護や、親族の相続問題や訴訟絡みの論争に追われる日々を綴る、怒りと悲しみに満ちた「私小説的」なパートになっていきます。いつもながら、体力・気力ともに充実していないと「読めない」作品ですね。うっかりすると「災い」がもたらされてしまいそうですし。^^;

2011/7