「統ばる(すばる)」とは、集まって一つになること。「すばる」の星のように集う、沖縄八重山諸島の8つの島を舞台にした連作短編集です。
竹富島:八重山の文化を最も色濃く残すこの島は、種子取祭の日には舞台に変わります。「神にご覧に入れる難曲を素人同然の中学生の男女に舞わせよ」とのお告げを受けて、島全体が慌てふためきますが、ある事件が2人の中学生を変えてしまいます。
小浜島:コンパクトで効率的な島に何不自由なく暮らす女性が、火ヌ神に捧げた香炉の異常に気づきます。香炉の灰が増えて膨らんでいたのです。慌てて開催することにした大舅の50周期の洗骨供養に集まった子どもたちが母親に告げたニュースは・・。
西表島:未開の山々が残る島には、アマゾネスのような女系種族メールビがいたのです。メールビの求愛の印といわれる蘭を絶滅させようとする研究者の秘密は、探検者が次々と行方不明になることと関わっているのでしょうか。
黒島:内海に浮かぶハート形の島にやってきたエリート女教師は、子どもたちの不思議な行動に戸惑います。でも彼女こそが神に呼ばれた異人(マレビト)だったんですね。
与那国島:西の果てに台湾と対峙する島には、戦後の混乱期に女海賊として島を救ったオバアがいるのです。進路に迷うオバアの孫娘が選んだ道は・・。進路は西に!
石垣島:大家族の八重山諸島を世話し続ける母親のような島で、なんの取り得もない娘が群星御獄のツカサに選ばれて戸惑います。でも彼女の仕事の配送業こそが「縁を繋いで渡していく」キーポイント。彼女は、他の島から訪れる人々が何を必要としているのか、直感でわかるんですね。これまでの登場人物も総出演して、エンディングにふさわしい物語になりました。^^
神々と共に生きる島々の素晴らしい物語に、池上さんの真骨頂が発揮されています。沖縄に行ってみたいなぁ。
2011/7