りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ザ・マミー(アン・ライス)

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ハムナプトラ」の原作ですが、映画は本書と似ても似つかぬものとなってしまいました。この本は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と同系統のゴシック・ホラーなのですが、映画のほうは完全なハリウッド・アクションですもんね。

20世紀初頭、大英帝国の考古学者ローレンスがエジプトで発掘した墓は異様なものでした。石室内部の遺品は美しいクレオパトラの彫像をはじめとして、全てローマ時代のものなのに石棺に眠るミイラの主はそれより千年も遡る時代のラムセス2世であり、クレオパトラを愛していたというのですから。しかも「目覚めさせた者に災いあれ」との墓誌も・・。

古代において不老不死の秘薬を飲んだラムセス2世が、ひとたびはクレオパトラの時代に甦り、今ふたたび永い眠りの底から復活する・・というプロットなのですが、ローレンスの一人娘のジュリーを「現代のクレオパトラ」として愛してしまい、ジュリーのほうも博識でハンサムなラムセス2世の正体を知っても、まんざらではないようなのです。

ジュリーの婚約者アレックスも身を引きかけるし、邪悪な従兄弟ヘンリーも手を出せない中で、このままでは意外なハッピーエンドとなりかねなかったのですが、カイロ博物館で身元不明とされているミイラがかつての恋人クレオパトラと気づいたラムセスは、こらえきれずに不死の秘薬をかけてしまいます。しかし、死から甦ったクレオパトラは恐るべき邪悪な存在でした・・。

「ヴァンパイア・クロニクル」の中の『呪われし者の女王』にも古代エジプトの不死の存在が登場しますが、こちらは日光に当たって生命力を取り戻すのですから「逆ヴァンパイア」。^^

互いに不死の存在であるラムセスとクレオパトラの愛憎劇に、どう決着がつくのか。ラムセスを愛してしまったジュリーは、不老不死の存在となることを選ぶのか。興味は尽きなかったのですが、最後はちょっと肩透かし・・かな?

ラムセスが魅力ありすぎて、全然怖くなかったのもどうでしょう。でも著者が美青年好みで、「ヴァンパイア・クロニクル」のレスタトもルイも魅力的でしたから、そのあたりは仕方ないのかも。^^

2011/6