りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

リボンステークス(須藤靖貴)

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競馬雑誌「ギャロップ」に連載された小説とのこと。「競馬小説」というと、ディック・フランシスさんの良質な「競馬ミステリ」を思い浮かべますが、本書は主人公が挫折から這い上がっていく再生の物語。「リボン」は「リ・ボーン(再生)」だそうで、しかも牡馬でした。ハンドルネームとは関係ないのか・・残念。^^;

2年前に騎手を引退して調教助手となった石松俊太郎は、優駿ブリリアントカノンを骨折させてしまって自信を失ってしまいます。憧れていた牧場主のお嬢様も同期の騎手・獅子沢に奪われ、一時は引退も決意。しかし彼を競馬界に踏みとどまらせたのは、カノンの弟馬ブリリアントリボンでした。

ところがこのブリリアントリボン、圧倒的な末足の速さという素質はあるのですが、とんでもない暴れ馬で、石松を何度も振り落として怪我させたりしちゃうんですね。さらには、左目の弱視という欠点も抱えているんです。リボンと石松を羨む厩務員からのイジメもあったりしますが、獅子沢の協力も得て弱点を克服する特訓を重ねた末に、ダービーの日を迎えるのですが・・。

ディック・フランシスさんの小説もそうでしたが、あまり知られていない競馬界の内幕が興味深かったですね。調教師や調教助手、馬主や厩務員との関係、さらには騎手の間のライバル関係などもわかりやすく描かれています。レースの華々しさは一瞬のことであって、大部分は地味な努力の連続なんですね。興味のある方にはお勧めです。

「トゥールリッヒ」と表現される、ブリリアントリボンのいななきは、最後までピンときませんでしたが・・(笑)。

2011/2