りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

小説 ルパン三世(大沢在昌ほか)

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5人の作家による、ルパン三世小説」の競作です。登場人物たちはアニメでお馴染みの国民的キャラクターですから、紹介不要どころか、ルパンや次元や五右衛門や不二子や銭形の声が本の中から聞こえてくるようですし、テーマソングだって頭の中で鳴り響いてしまいます。楽しい本でした。

「拳銃稼業もラクじゃない」大沢在昌
拳銃早打ち大会に出場するため次元に教えを請う少年は、軍事クーデターで虐殺された王族のなかでひとり生き残って、独裁者に復讐を望む王女でした。次元が、銃の師匠を殺害した弟弟子と対決します。

「バンディット・カフェ」新野剛志
世界中の泥棒が集まるカフェで囚われてしまったルパン。罠に陥れたのは不二子。耄碌して金庫の開け方を忘れたカフェのオーナーに代わって財宝を手に入れるためにルパンを利用するというのですが・・。

「1-1=1」光原百合
金庫作りの名人・葛城錠太郎への依頼は、ルパンに狙われた絵画を盗難から守ること。ルパンの目的は、画家の娘に母と娘を描いた絵画をプレゼントすること。娘の母親は、かつてのルパンの泥棒仲間だったんですね。絵を盗んでおいて、盗難を気付かせないためにルパンがとった手段とは? まだ金庫に納められていない絵画をルパンの手から守るために、100人の女子高生で絵画を囲ませた案は秀逸でした。本書の中でベストの作品は、これですね。

「深き森は死の香り」樋口明雄
悪徳代議士の隠し財産を盗み出すようルパンに依頼したのは、不正蓄財を暴こうとするライバル党の議員ではなく、悪徳代議士本人でした。裏切りの中でルパンが出会ったのは、山に隠れ住む老泥棒と、トップクラスの泥棒となることを夢見る、不二子っぽい女性。最後はちょっとほろ苦い、本格的なハードボイルドです。

「平泉黄金を探せ」森詠
中尊寺金色堂で発見された800年前のいたずら書きは、ルパンに救助を求める不二子のメッセージ。800年前にタイムスリップしたルパン一行は、源頼朝の軍勢に包囲された義経と出会います。ルパンと不二子は平泉の黄金を現代に持ち帰れるのでしょうか。そして義経の運命は? 荒唐無稽ですけど、ルパンならこれもありかな。

2011/1