りぼんの読書ノート

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RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた(荻原規子)

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修験道の本場である紀伊山地の奥深い神社で生まれ育ち、「姫神さま」の依り代の能力を持つ泉水子が入学した鳳城学園は、異能力者が集まる不思議な高校でした。前巻でいきなり、陰陽師の力を持つ生徒・高柳一条の術を見破った泉水子でしたが、日ごろは、やはり不思議な力を持つ親友の美女、宗田真響の影に隠れるようにしてすごしています。

学園祭の企画を準備するため、生徒会執行部は真響の地元・戸隠で合宿をすることになるのですが、その過程で学園の秘密の一端が明かされていきます。この学園の存在意義は、何らかの目的のために「誰か」を選び出すことであり、現在までのところ、真響と高柳が「候補者」とみなされていて、泉水子を守護する山伏の家系の相楽深行も、そのライバルと思われていたこと。生徒会長のジーン・仄香はあくまで「判定者」であること。

シリーズは泉水子の成長を待つかのように、ゆっくりと進んでいきます。本書のクライマックスは、真響と双子の弟・真夏のもとを頻繁に訪れていた、早世した弟・真澄の霊の正体が明らかになるところですね。戸隠の岩戸に隠れた九頭龍大神の一部が、真澄の性格を纏っていたというのですから。ある事件から、九頭龍大神の本体を現世に呼び戻しそうになってしまう泉水子らを、危機一髪のところで、母の紫子(ゆかりこ)が姫神の姿になって救います。

まだまだ「姫神」の秘密も、「学園」の秘密も明らかになってきません。もちそん、シャイな泉水子の真の能力も秘められたままです。次巻のテーマは文化祭?

2010/9