『天使と悪魔』と『ダ・ヴィンチ・コード』に続く「ラングドン・シリーズ」第3弾は、ワシントンDCを舞台にした「フリーメイソン」の秘密に関わる事件でした。アメリカが舞台で、アメリカ建国の父たちが関わる秘密というと、ニコラス・ケイジの「ナショナル・トレジャー」とかぶるような感じが・・。
フリーメイソン最高位の資格を持つ、スミソニアン協会会長のピーター・ソロモンから講演依頼を受けたラングドンでしたが、これはピーターを人質に取った犯人の罠であり、犯人はラングドンに「古の秘密」に通じる「古の門」を捜索させようとしていたのです。タイムリミットは12時間。さらに、ピーターの妹で、先駆的な研究成果をあげているキャサリンにも危害が及ぼうとしています。その場に駆けつけてきたCIA警備局長のサトウは、合衆国が危機に瀕しているとしてピーターを犠牲にしても犯人の捜索を優先させるよう、ラングドンに指示するのですが・・
このシリーズのポイントは、次々と示される手がかりから「古の神秘」にたどり着く経緯に加えて、最後に明かされる「謎」そのものにあるのですが、今回の「謎」は少々わかりにくかったかもしれません。なんせ、人間が本来持っている「神性の解放」というのですから。キャサリンの研究には、人間が科学的にそこに到達する可能性を開く可能性があると言われても・・。
とはいっても、本書の「謎」には『ダ・ヴィンチ・コード』ほどの爽やかさはありません。むしろ「犯人の正体」のほうが、意外性があって楽しめました。全世界が期待するプレッシャーの中で、前作を越える本を著すのは大変ですね。
2010/9