『ストリート・キッズ』シリーズの最終作です。シリーズに決着をつけるためのエピローグのような作品ですね。
結婚を控えて、無性に子どもを欲しがるカレンに戸惑っているニールのもとに、父親代わりとなってニールを育て、探偵として鍛え上げてくれたグレアムから「な~に、実に簡単な仕事でな。坊主」と、いつもの調子で電話が入ります。
ラスヴェガスから帰ろうとしない86歳の爺さんを、自宅に連れ戻すだけの仕事だったのですが、その爺さんは「ナッティ・シルバー」という芸名を持つ往年のコメディアン。爺さんが連発するオールド・アメリカン・ジョークに辟易しているうちに車を乗り逃げされてしまい、車は空になって発見されます。実は、爺さんには家に帰りたくない深刻な理由があったのですが・・。
ニールを心配して追ってきたカレンを巻き込んでのアクションもありますが、謎解き部分もあっさりしているし、軽めの作品です。作者は、ニールにこの言葉を言わせるために本書を書いたのでしょう。「自分が恐れているのは子どもではなく、その子どもの父親なのだと気づいた」。「キッズ」を卒業してもまだ、「親」になる準備はできていないということのようですが・・。
将来、第2部を執筆するという話もあるようですが、この結末からの新展開は難しいのではないでしょうか。もし書くのなら、十分に構想を練って、読者を驚かせて欲しいものですが。
2010/7