りぼんの読書ノート

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僕僕先生4 さびしい女神(仁木英之)

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美少女姿の仙人に惹かれて共に旅する王弁クンの物語僕僕先生のシリーズ4作めは長編でした。

前作胡蝶の失くし物に登場した「蚕姿のツンデレ娘」の故郷は、中原から遠い辺境の地。巫女の掟を破って蚕の姿にされてしまった蚕嬢の故郷は、凄まじい旱魃に襲われていました。人がいいのが取り得の王弁クンは、村人たちの力になってあげようとするのですが、なぜか肝心の僕僕先生は、姿をくらましてしまいます。

それもそのはず、蚕嬢が封印から解き放ってしまったのは、史上最強の旱魃の女神であり、神話時代に炎帝と争って勝利を得た黄帝の最終兵器ともなった「魃(ばつ)」だったのです。自制が解ければ、地上どころか天界までもが亡び去ってしまうほどのパワーを持つ「魃」の居場所を、王弁クンごときが見つけてあげることができるのでしょうか。

「火の神・燭陰」や「水の神・耕父」などの古代の神々の「その後」が切なかったですね。僕僕先生の正体が、かつて「魃」と死闘を演じた、炎帝サイドの最終兵器「雷娘」なのかどうかも気になりますが・・。

ラノベ風のファンタジーとしてはじまったシリーズですが、この作品でスケールアップを果たしたようです。ニール・ゲイマンの作風に近づいた感もあるのですが、このあとは再びラノベ路線に戻ってしまうのでしょうか。

2010/7