今更ながら「めざせ!シャーロキアン!」とのことで、シリーズを読み始めました。2つの長編(『緋色の研究』、『四つの署名』)に続く3巻めである本書は、著名な作品が多数収録されている短編集で、ホームズとワトソンの魅力がたっぷり詰まっています。
あまりミステリは読まないのですが、このシリーズは19世紀末のロンドンの雰囲気が色濃く出ているのが楽しいですね。アメリカやオーストラリアという新大陸、インドや中国という植民地と関係する主題が多いのも特徴です。もはや「歴史ミステリ」?
赤髪組合:見事な赤毛を持つ質屋ウィルソンに、毎日数時間ある部屋にいるだけで4ポンド与えるとの不思議な申し出がきます。誰がいったい何のために?
花婿失踪事件:近眼のタイピスト・メアリー・サザーランド嬢の花婿が、結婚式の当日に突然失踪した理由とは何だったのでしょう。そもそも花婿の正体は?
ボスコム谷の惨劇:父親殺しの罪で逮捕された青年ジェームズの無実を信じるアリス。実は、両家の間にはオーストラリアでの因縁があったのです。
オレンジの種五つ:オレンジの種が入っている「K.K.K.」の封筒を受け取った伯父も、父も事故死。同じ封筒が息子にも届きます。フロリダの秘密結社というと、アレですね。
唇の捩れた男:ロンドンで仕事をしているはずの夫をアヘン宿の窓で見かけた妻が、警察と入り込むと、醜い顔のいざりがいるだけでした。夫はその男に殺害されたのでしょうか。
青いガーネット:喧嘩の現場で拾ったガチョウの腹から出てきたのは、盗難届けの出ている宝石でした。いったいどんな経緯で宝石はガチョウの腹に収まったのでしょう。
まだらの紐:亡き母が遺した遺産を相続し、義父と同居しているストーナー姉妹でしたが、姉が密室で怪死。ある晩不気味な物音を聞いた妹は、ホームズに事件の究明を依頼します。
ぶな屋敷:家庭教師のハンター嬢に、髪を切って青い服を着ることを条件に高額を払うとの不思議な申し出が来ます。案の定、屋敷で起こる不思議な出来事。勇敢なハンター嬢を、ホームズは「僕の妹だったら」などと言って気に入っているようですけど・・。
2010/7