まずは、印象に残った戦術論をいくつか紹介しましょう。・「ボール・ポゼッション」には意味はなく、バックでパスを回しているだけでは「攻撃的」とはいえない。「攻撃的サッカー」とは一瞬のチャンスに攻撃に人数をかけて数的優位を作り出すこと。意味のないパス交換は「攻撃的」でも何でもなく、むしろ危険。(先日の日韓戦を思い出してしまいました^^;)
・プレーに関わらない選手がオフサイドとならないとのルール改正で、「オフサイド・トラップ」は仕掛けにくくなった。オフサイド・ポジションにいる選手を囮にして2列目からの飛び出しを狙う戦術が編み出されたためである。(そういえば最近あまり見かけませんね)
・90分間走り続けるサッカーは不可能。とりわけ、国内リーグと欧州リーグを戦うようなチームの選手は、年間を通じたコンデション維持が求められることも理由のひとつ。(日本のサッカーは、この不可能に挑戦することだったのでは・・)
サッカー中心地から隔たり一流国との実力差が歴然としている日本チームが、短期決戦のW杯で用いる戦術は、必ずしもこの通りである必要はないとは思いますが、どうなのでしょう。もちろん、岡田監督は全てを理解して、選手選考や戦術を考えていると思いたいものですが・・。
さて、現役バリバリの監督が選ぶ「現時点での世界最高の選手」とは誰なのでしょう。ポジション別に見ていきます。( )内は、監督がそのポジションに求める資質です。南アフリカでは誰が活躍してくれるでしょうか。
・ファンタジスタ:カカ(このポジションに必要な資質は言うまでもないでしょう)
・MF:ランバード、ジェラード(ポジショニングとプレーを選択する戦術眼、ダイナミズム、持久力)
・GK:ブッフォン(戦術よりもフィジカルが求められる)
自らが指揮をとった重要な試合の解説も、興味深いですよ。とりわけ、2005年欧州チャンピオンズ・リーグ決勝の対リヴァプール戦。3-0から、後半中盤の6分間で同点に追いつかれ、結局PKで優勝を逃した伝説の試合と、2年後に決勝でリヴァプールを破って雪辱した試合は、そのままドラマになりそうなくらい。
いよいよワールド・カップが始まります。今回はどんなドラマを見せてもらえるでしょうか。もちろん日本に期待したいのですが・・。
2010/5