りぼんの読書ノート

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時の眼 - タイム・オデッセイ(アーサー・C・ クラーク、スティーヴン・バクスター)

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『2001年』から『3001年』までの「スペース・オデッセイ」シリーズとは直角の関係にあるという、「タイム・オデッセイ」シリーズの幕開けです。

猿人の時代から未来まで。時空を越えてバラバラにされた地球が、パッチワークのように組み直されます。使われたパーツの時代と場所に、たまたま居た者たちとともに・・。誰が、何のために?

2037年にアフガニスタンパキスタン国境を飛んでいた国連平和維持軍のヘリは、1885年にインド辺境を統治していたイギリス陸軍と出会います。そこに捕まっていたのはアウストラロピテクスの母子。さらにそこには、アレキサンダー大王の東征軍が襲来しようとしていました。

一方、国際宇宙ステーションから帰還中だったソユーズ乗組員は、地上からの通信が途絶えただけでなく、陸地や氷河に覆われている様子を見て愕然とします。数百万年の人類の歴史で文明時代はほんの数千年ですから、地球はスカスカなんです。中央アジア高原に不時着した乗組員は、ジンギスカンの軍勢に囲まれてしまいます。アレキサンダージンギスカンは東西からバビロンへと向かうのですが・・。

「スペース・オデッセイ」ではモノリスでしたが、こちらでは「謎の球体」が登場。バビロンから発信されている謎のビーコンとともに、もちろん超知性体のものです。『3001年』で人類を見放そうとした超知性体は、本書では既に人類に見切りをつけてしまったのでしょうか。

そもそも人類の全歴史のモザイク世界というのに、どうして2037年以降の未来人はこの世界に存在していないのでしょうか。キップリングを看取った女性兵士ビセサは、このシリーズのボーマンなのでしょうか。

大規模な『戦国自衛隊』のようなクライマックスは、それなりに迫力ありましたが、大きな疑問がたくさん置き去りにされていますので、やはり第2部まで揃って1セット。続編が出てから読めばよかったな。

2009/12