りぼんの読書ノート

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ジェイン・オースティンの読書会(カレン・ジョイ・ファウラー)

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「私たちはだれでも、それぞれのオースティンを持っている」との言葉で始まる本書は、アメリカ・カリフォルニアの田舎町で「女性5人+男性1名」のグループが、持ち回りでオースティンの読書会を開催する物語です。

オースティンの長編は6作品。そのいずれもが、平凡な田舎を舞台にして、名家の娘や紳士たちが結婚に至るまでの紆余曲折を描いたものにすぎません。でも彼女の小説が現代でも色褪せていないのは、人間心理を徹底的に写実したことによるのでしょう。今も昔も、人間性というものは変っていないんですね。

本書も、オースティンばりに登場人物の心理や行動をなぞりながら、最後には全員が配偶者や恋人を得る物語になっています。時にコミカルなのは、オースティン風。でも、「結婚したら終わり」ではなくって、その後も色々あることが含みになっているあたりは、オースティンの時代とは異なっていますね。巻末にオースティン作品の要約も載っていますので、未読の方でも楽しめます。6人の登場人物と6作品を紹介しておきましょう。

3月『エマ』ジョスリン(50代前半)
高校時代にシルヴィアに恋人のダニアルを奪われて以来、ずっと独身主義。でもシルヴィアとは11歳の時からずっと親友。ドッグ・ブリーダーで、世話好き。彼女の性格は、間違いなく「エマ」ですね。

4月『分別と多感』アレグラ(30歳)
シルヴィアの娘。実はそれほどオースティンを好きでもなさそう。レズビアンの恋人のコリンが、彼女の打ち明け話を小説に書いてしまい、怒ります。

5月『ノーサンガー・アビー』グリッグ(40代)
シスターコンプレックスのSFファン。偶然ジョスリンと知り合い、読書会に誘われます。ジョスリンに『闇の左手(ル・グィン)』を読ませようとするのですが・・。

6月マンスフィールド・パーク』プルーディ(27歳)
フランス語教師。父親は不明で母一人に育てられた。既婚者だが夫とは趣味が合いません。読書会の当日に、母が危篤との連絡が入ります。

7月高慢と偏見バーナデット(67歳)
少女時代はハリウッドのガールズ・グループの一員。男性遍歴も豊富で何度も離婚経験あり。「もう鏡を見ないことにした」と本人は言っていますが・・。

8月『説得』シルヴィア(50代前半)
図書館司書。3人の子どもを持つ母親。30年間いい関係を築いていた夫ダニエルから離婚宣言をされてしまい、ショックを受けます。しかし、アレグラが怪我で入院して・・。

2009/12読了