まだ２歳の一人娘が白血病となり、生体適合するドナーがいないと知った母は、遺伝子操作によってデザイナー・ベイビーを生むことを決意しました。そうやって生まれた妹アナは、姉ケイトの生まれながらのドナーとして運命づけられ、臍帯血の提供にはじまって、輸血や骨髄移植など姉の治療のためにさまざまな犠牲を強いられてきます。ついに両親は、最後の手段として腎臓移植を決意するのですが、１３歳になっていたアナはこれを拒み、弁護士を雇って両親に対する訴訟を起こすという前代未聞の行動に・・。
はじめは両親とりわけ母親のサラが、姉のケイトを偏愛するばかりに、アナの人権をないがしろにし続けた「歪んだ家庭」の印象が強いのですが、裁判の中でそれぞれの思いが明らかになってきます。アナが世界で一番すきなのは姉のケイトであり、アナとケイトと、２人そろっていて家庭なんですね。家族の誰にとっても・・。決してこの本は「ソフィーの選択」ではありません。
終盤になって裁判の真相が明らかになった驚き（これはうすうす感じていましたが）と、悲しいエンディングは、エピローグの明るさで救われます。原題の「My Sister`s Keeper」という言葉が、最後になって別の意味を持ってくる構成も素晴らしいですね。
ところで現在上映中の映画の結末は、小説とは変えているようです。母親サラに扮するキャメロン・ディアスの熱演に加えて、どんな展開となっているのか、映画のほうも気になります。でも病院が舞台の映画はしばらく見たくはありません。
2009/12
