りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

花のれん(山崎豊子)

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沈まぬ太陽』の映画化で、今また話題となっている山崎さんの直木賞受賞作。もう50年以上も前に書かれた作品ですが、今読んでもおもしろい。過去に、映画化もTVドラマ化もされています。

船場の呉服屋に嫁いだ多加でしたが、頼りない夫は寄席道楽に耽って店を潰してしまいます。いっそ「道楽を本業に」ということで夫に場末の寄席を買わせますが、夫はやはり商売には身が入らず、借財を残したまま、なんと妾宅で腹上死。

でもこんなどん底状態から、多加の本領が発揮されていくのです。資金繰りのために金貸しの老婆に取入ったり、風呂場で師匠たちの背中まで拭って場末の小屋に出演してもらったり、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜いたり・・。まさに、なりふりかまわぬ金儲け作戦が開始されます。

もちろん寄席の店主ですから、笑いに対するセンスも要求されます。大阪で流行りだした安木節に目をつけて大興行に仕上げたり、エンタツアチャコを育てて漫才ブームを起こしたり、破天荒な名人・春団次ととことん付き合ったりもするんですね。多可は次々と寄席を買い増し、その数なんと27演芸場。ついには通天閣まで購入するのですが、時代は戦争へと向かっていきます。果たして多可と「大阪の笑い」は、どうなってしまうのか・・。

モデルは、吉本興業の創業者「吉本せい」だそうです。「大阪のお笑い」、いや「日本のお笑い」には、彼女の遺伝子が相当入ってますね。吉本興業がシワイという話もよく聞きますが、こっちは彼女の遺伝子100%ということで間違いなさそうです。^^;

2009/12