りぼんの読書ノート

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西の善き魔女1 セラフィールドの少女(荻原規子)

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荻原さんというと「和製ファンタジー作家」という印象があって、このシリーズにはなかなか手を出せないでいました。だって、『指輪物語』や『ゲド戦記』のように、洋風の地名を持つ架空の世界で、洋風の名前を持つ登場人物が活躍する物語なんですから。

第一巻を読んだところでは、まだこの世界の全貌はわかりません。というより、最後まで読んで、この世界を理解できるような筋立てにしているのかな。「シンデレラ」や「七匹の子ヤギ」や「ルンペルシュツルツキン」など、はっきりとグリムを下敷きにしたかのような中世ヨーロッパ風の物語世界だし、主人公の住む国が「グラール」といったら、これは「聖杯伝説」?

ただ、ちょっとずつズレているんですね。星仙女王を頂点とする女系国家というと「邪馬台国」を思い起こさせますし、そもそもなぜグリム童話が「異端」とされているのか。どんな世界を描こうとしているのか、楽しみです。

ストーリーにも触れておきましょう。辺境の地で天文学者の父と2人で暮らす少女フィリエルには出生の秘密があり、母の形見の首飾りをつけて伯爵家の舞踏会にデビューしたことをきっかけに、彼女は女王の後継者争いに巻き込まれていくのです。

事情を知っているはずの父親は突然失踪し、博士の弟子だったルーンは誘拐される。伯爵家の兄妹であるユーシスとアデイル(彼女は女王の孫であり後継者の有力候補)とは親しくなるが、あちこちに陰謀が渦巻いています。そんな中でフィリエルがどう生きていくのか。まだまだ「つかみ」ですね。

2009/8