レイモンド・オハンロンの『コンゴ・ジャーニー』の前に、コンゴ奥地のテレ湖に棲息するという謎の怪獣モケーレ・ムベンベの発見を賭けて「探検」をした人たちがいたんですね。しかも、それが「早稲田大学探検部」というのですから驚きです。ねこりんさんが、紹介してくれた本です。
「探検」というと、古くは玄奘三蔵や、マルコ・ポーロや、イブン・バットゥータ。大航海時代では、コロンブスや、バスコ・ダ・ガマや、マゼランや、バルボアなど。近世になると、アメリカやアフリカの奥地、太平洋やオーストラリアを目指して、ハドソン、タスマン、ベーリング、クック、フンボルト、間宮林蔵など、地図上に名を遺した人々や、極地を目指したピアリー、スコット、アムンゼンらが有名です。
でもこれらの「探検」には、商業、海運、軍事、学問などの理由がありました。では、地球表面の主だった場所は探検しつくされたとされている現代に於いては、「探検家」は何を目指すべきなのか。
宇宙や深海を目指すには、国家レベルでの巨大なプロジェクトが必要です。そうすると、現代に個人レベルで可能なものは「探検(exploration)」ではなくて、リスクとリターンが見合わない「冒険(adventure)」にすぎないのかもしれません。だからこそ、「ロマン」が必要となるのでしょうか・・。
ともあれ、事前の準備なくしては「冒険」もできません。資料を集め、言葉を覚え、機材調達のために企業スポンサーと交渉し、コンゴ政府にもろもろの許可を願い出、さらには現地の酋長とわけのわからない交渉をおこない、それでようやく、フィールドに入ることができる。
「たかが」とは言いませんが、「ロマン」のためにそこまでやった人たちがいた! 常人としては驚き呆れるしかないのですが、それだけにかえって「尊敬」の念すら生まれてきます。やっぱり凄いです。コンゴの生物学者であるアニャーニャ博士や、現地ガイドのヴィクトールなど、『コンゴ・ジャーニー』にも登場した人々は、当時から活躍していたのですね。
2009/7