りぼんの読書ノート

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恋文の技術(森見登美彦)

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京都の遠く離れた能登半島のクラゲ研究の実験所に飛ばされた大学院生がひとり。この男、守田一郎は、あまりの無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住んでいるかつての仲間たちに手紙を書きまくります。

友人の恋の相談に(いいかげんに)乗り、家庭教師をしていた少年を(適当に)教え諭し、妹には(偉そうに)説教を垂れ、研究所を仕切っている女帝には(恐る恐る)苦情を述べたりある企みをもって脅迫を仕掛けてみたり、作家としたデビューした先輩の「森見登美彦氏」とは愚痴を語り合い・・。

それでも彼には、どうしても出せなかった手紙があったのです。それは、憧れていた女性に向けてのラブ・レター。確かに彼が出すことができなかった何通もの恋文は、「出さなくてよかったね^^」というものばかり。

「恋文の技術」とは、いかに自分をアピールするか、相手を褒め称えるかではなく、もちろん、アイダホ州立大学のコヒーブミ教授(だったけ?)の教えなどでもなく、素直な思いをそのままに綴れるかどうか、なのでしょう。守田クンが最後に書き上げたラブレターは、良かったですよ?^^

2009/4