りぼんの読書ノート

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退屈姫君これでおしまい(米村圭五)

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他愛もない「お気楽時代劇」ですが、深い教養と時代考証に裏づけされた楽しい物語。

「すてき!すてき!」と「天下の一大事」に眼がない、甘やかされて育った大藩の末娘のめだか姫が、弱小の風見藩の正室に嫁いで始まったシリーズも、これで終了のようです。もう4作めですから、だいぶ時間もたったと思っていましたが、まだ1月に輿入れした年の9月!

夫である風見藩主の直重はお国入りしており、以前の不品行がたたって乳母から外出を禁じられているので、めだか姫は「退屈で死にそう」。姉君の「猪鹿蝶」三姉妹の失踪騒ぎに乗じてようやく屋敷を抜け出し、いま江戸で評判の「変わり菊競べ」をのぞいてみたら、貧乏旗本が精魂こめて作り上げた名菊「雪見桜」を踏みにじり、選考に不満をわめきちらす天下のボンボン、田沼意知と鉢合わせ。

仇敵と出会って、めだか姫の正義感に火がつかないわけがありません。しかしそれは、裏に控える田沼意次の陰謀を暴きだし、将軍・家治をも巻き込むことになる天下の大騒動に繋がっていくのでした・・。

もちろん最終回ですので、乳母の諏訪、将棋指しの小文五、密偵お仙らも大活躍。特に、めだか姫の親友となった少女密偵お仙は、江戸城侵入をはかって、忍び同士の命を賭けた闘いに身を投ずることになってしまいます。もちろん、ハッピーエンドが待ってます。こういう「予定調和」こそが、「お気楽時代劇」の醍醐味ですね。^^

ところで、成長して絶世の美女となり、「笠森お仙」の名を後世に残すことになるお仙を主人公とした別の物語もあるそうです。それも読まなきゃ。^^



2009/2