りぼんの読書ノート

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僕僕先生2 薄妃の恋(仁木英之)

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『僕僕先生』シリーズ2作めですが、畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズに似てきた感じ。頼りない主人公が不思議な体験をしながら成長していく物語。でもこのシリーズの主人公・王弁が『しゃばけ』の若旦那と違うのは、恋をしていること。実態は謎ですが普段はキュートな美少女姿の仙人の僕僕先生に、王弁は惚れているんです。

第一作から5年ぶりに、僕僕先生が王弁のもとに戻ってきました。ニートだった王弁は僕僕先生から教えてもらった薬草を調合する医師になっているのですが、そんなことにはお構いなく自分の都合で王弁を旅に連れ出してしまいます。

2人が旅に出た先は、同庭湖を中心とする華南地方。2人の前に現れるのは、雷神に、皮だけの美女に、山の女神に、仙界のホトトギス。料理対決で師弟愛を確認しあったり、男女の情けの機微に触れたり、兄弟愛や親子の愛の深さに感動したり、盛りだくさんの内容です。

なかでも皮だけの美女「薄妃」は、2人と行動をともにするので、新キャラの誕生かも。「西遊記」や「聊斎志異」を思わせる唐代の不思議物語ですが、キャラで読ませる人情ものというと、ますます『しゃばけ』に似てくる感じです。2人の邪魔をする覆面の導師の存在も謎のままですので、シリーズが続くということですね。

この作品に収録されているのは、以下の6つの短編です。
「羊羹比賽―王弁、料理勝負に出る」
「陽児雷児―雷神の子、友を得る」
「飄飄薄妃―王弁、熱愛現場を目撃する」
「健忘収支―王弁、女神の厠で妙薬を探す」
「黒髪黒卵―僕僕、異界の剣を仇討ちに貸し出す」
「奪心之歌―僕僕、歌姫にはまる」

2008/11