りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

アトラスの使徒(サム・ボーン)

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ユダヤ教聖典によれば、この世界は36人の「正しき人々」に支えられており、人知れず善行を積んでいる彼らがいなくなったら、世界は終わりを迎えるとのこと。ただし、これは人間世界の終焉であって、「神の国」が姿を現すとの解釈もあるようです。

売春宿の主人やミリタリーマニアの男性が殺害された事件を取材する新人記者のウィルが発見したのは、見かけと反対に、彼らが人知れず善行を積んでいたという事実。やがて、イギリスで、タイで、アラビアで、アフリカで、「正しき人々」が殺されていることが明らかになっていく中で、ウィルの最愛の妻が誘拐されてしまいます。

コンピューターおたくの友人が見出したのは、ユダヤ教の秘密結社。かつての恋人でユダヤの経典にも詳しいユダヤ人女性(こんなに都合のいい元恋人がいるなんて!)とともに結社に潜入を図ったウィルは、こてんぱんに叩きのめされ、手を引くように脅迫されるのですが・・。

謎の組織による、謎の動機に基づく、謎の陰謀。妻の誘拐と「正しき人々」の殺害はどういう関係があるのでしょうか。陰謀の張本人はちょっと意外な男性で、最後に残された36人めの「正しき人」の正体も
意表を衝いてくれますが、この種のアメリカの小説は映画化を意識しているせいかかなり臭い。ダ・ヴィンチ・コードには及びません。

2008/11