10月は「読書の秋」にふさわしく、『新世界より』、『テンペスト』、『警官の血』、『ベイジン』と、日本人作家による素晴らしい長編小説をたっぷり堪能することができました。ル・グウィンさんの新シリーズも期待に違わない素晴らしい作品でしたし、『ハリー・ポッター』の完結編も楽しめました。 そんな高水準の中での1位はラヒリさんの『見知らぬ場所』。短編集ですが、どの作品も心に真っ直ぐに迫ってくるのです。やはり名手です。
1.見知らぬ場所 (ジュンパ・ラヒリ)
異郷に暮らすベンガル人移民の微妙な違和感や哀しみを持ち味としていたラヒリさんですが、この本では、家族の繋がりや男女の愛憎の機微を、より普遍的なものとして描いてくれます。「どこも似たように恐ろしい」の一言で、かつて自分も経験したことのある家族や恋人への違和感や喪失感すらも引き出されてしまいました。
異郷に暮らすベンガル人移民の微妙な違和感や哀しみを持ち味としていたラヒリさんですが、この本では、家族の繋がりや男女の愛憎の機微を、より普遍的なものとして描いてくれます。「どこも似たように恐ろしい」の一言で、かつて自分も経験したことのある家族や恋人への違和感や喪失感すらも引き出されてしまいました。
2.新世界より (貴志祐介)
1000年後の日本では、わずか6万人の人間が、何箇所かの村に別れて棲んでいるだけ。常温核融合や遺伝子変換までも可能とする、凄まじい念動力を使えるようになった新人類が支配する世界の実態はどうなっていて、「普通の」人間はどこでどうしているのか。「座標軸がズレる感覚」にぶっ飛んでみたい人には、めちゃくちゃお奨めの一冊です。
1000年後の日本では、わずか6万人の人間が、何箇所かの村に別れて棲んでいるだけ。常温核融合や遺伝子変換までも可能とする、凄まじい念動力を使えるようになった新人類が支配する世界の実態はどうなっていて、「普通の」人間はどこでどうしているのか。「座標軸がズレる感覚」にぶっ飛んでみたい人には、めちゃくちゃお奨めの一冊です。
3.テンペスト (池上永一)
19世紀後半、薩摩藩と清朝の両方に臣属して生き延びてきた琉球王国にペリーが来航。王国の危機を救うため、少女真鶴は宦官になりすまし、女人禁制の行政官となって大活躍・・のはずが、運命のいたずらで、なんと国王の側室にも選ばれてしまいます。破天荒のおもしろさと、著者の沖縄への愛情がたっぷり詰まった作品に仕上がりました。
19世紀後半、薩摩藩と清朝の両方に臣属して生き延びてきた琉球王国にペリーが来航。王国の危機を救うため、少女真鶴は宦官になりすまし、女人禁制の行政官となって大活躍・・のはずが、運命のいたずらで、なんと国王の側室にも選ばれてしまいます。破天荒のおもしろさと、著者の沖縄への愛情がたっぷり詰まった作品に仕上がりました。
4.西のはての年代記Ⅰ.ギフト Ⅱ.ヴォイス Ⅲ.パワー (ル=グィン)
人はなぜ人を支配するのか。他者を支配するための「能力」とは何なのか。人間は、持てる「能力」をどう用いればよいのか。ファンタジーの中の「不思議な能力」でも、現実世界の「能力」でも同じこと。名作『ゲド戦記シリーズ』の著者がたどりついた世界観に浸ってください。
人はなぜ人を支配するのか。他者を支配するための「能力」とは何なのか。人間は、持てる「能力」をどう用いればよいのか。ファンタジーの中の「不思議な能力」でも、現実世界の「能力」でも同じこと。名作『ゲド戦記シリーズ』の著者がたどりついた世界観に浸ってください。
5.警官の血 (佐々木譲 )
祖父が活躍した戦後の混乱時代と、父が活躍した連合赤軍時代から、現代へ。3代続いた警察官の血筋がたどり着いた、「正義とは何か」との問いへの答え。それぞれの時代の「世相と人間」がしっかり描かれた、力作です。
祖父が活躍した戦後の混乱時代と、父が活躍した連合赤軍時代から、現代へ。3代続いた警察官の血筋がたどり着いた、「正義とは何か」との問いへの答え。それぞれの時代の「世相と人間」がしっかり描かれた、力作です。
【その他今月読んだ本】
・ブラック・ウォーター (T・ジェファーソン・パーカー)
・グッバイ・サイゴン (ニナ・ヴィーダ)
・修道士カドフェル1 聖女の遺骨求む (エリス・ピーターズ)
・ライト (M・.ジョン・ハリスン )
・史記武帝紀1 (北方謙三)
・いっちばん (畠中恵)
・天安門 (シャン・サ)
・誘拐 (五十嵐貴久)
・美女と竹林 (森見登見彦)
・ふくろう女の美容室 (テス・ギャラガー)
・潜入捜査 (今野敏)
・まだ人間じゃない (フィリップ・K・ディック)
・密偵ファルコ3 錆色の女神 (リンゼイ・デイヴィス)
・荒野 (桜庭一樹)
・ハリーポッターと死の秘宝(J・K・ローリング)
・傷だらけの天使(矢作俊彦)
・ブラック・ウォーター (T・ジェファーソン・パーカー)
・グッバイ・サイゴン (ニナ・ヴィーダ)
・修道士カドフェル1 聖女の遺骨求む (エリス・ピーターズ)
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・史記武帝紀1 (北方謙三)
・いっちばん (畠中恵)
・天安門 (シャン・サ)
・誘拐 (五十嵐貴久)
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・潜入捜査 (今野敏)
・まだ人間じゃない (フィリップ・K・ディック)
・密偵ファルコ3 錆色の女神 (リンゼイ・デイヴィス)
・荒野 (桜庭一樹)
・ハリーポッターと死の秘宝(J・K・ローリング)
・傷だらけの天使(矢作俊彦)
2008/11/1