りぼんの読書ノート

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傷だらけの天使(矢作俊彦)

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30年前の大ヒットドラマ「傷だらけの天使」については、井上堯之バンドの軽快な音楽に乗ってヘッドフォンにゴーグル姿の萩原健一さんが、むさぼるように朝食を食べるオープニングの場面と、彼を「アニキィ~」と呼んでいたチンピラ風の水谷豊さんが亡くなるエンディングしか知りません。もちろんリアルタイムではなく「なつかしの名場面」で見た記憶でしょう。

だから、「30年後の続編」として書かれた本書には思い入れもありませんし、本編についてもネットで調べて「探偵事務所の物語だったのか」とあらためて「発見」したようなもの。明らかに私は、本書のターゲットではありません。

主人公・小暮修(ショーケン)は、風邪をこじらせて死んでしまったアキラ(水谷豊)を殺害した犯人として指名手配を受けていて、長年、海外で逃亡生活をしていたものの、今は東京に戻って気ままなホームレス生活の身。(海外にいたから時効にはなっていないんですね)

ところがホームレス仲間の元芸能人がオサムと間違えられて殺害されるという事件が起こり、仁義の男・オサムとしては、危険に立ち向かって真相を解明しないわけにはいきません。30年ぶりに新宿の裏世界に戻ってきたオサムを待っていたのは、外国人やIT長者によって様変わりした歌舞伎町。さらには、なぜかバーチャル世界の有名人となっていたオサムの名前を利用して、歌舞伎町の再開発をもくろむ陰謀も企まれていたのです。

かつてのオサムの上司だった、綾部貴子(岸田今日子)とその腹心・辰巳五郎(岸田森)が年老いた姿で登場するのに加えて、貴子の娘や、事務所があったビルのオーナーの娘も登場。オサムを追い回すのは、かつて貴子やオサムを追い回していた海津警部(西村晃)の部下。やはり、若々しい次の世代の者も登場しないとドラマとしては成立しないようです。そして、オサムの息子も意外な形で登場。

この本は映画化を前提として書かれたものの、岸田今日子さんの急逝によって企画が流れてしまったそうです。久々にショーケン主演の映画を見たかったファンもいたんでしょうに・・。

2008/10